腫瘍内科

腫瘍内科は、薬物療法を中心としたがんに対する総合的な治療を専門的に行っています。
2014年5月より診療を開始いたしました。
2014年10月からは信州がんセンターからのご支援も頂き、週に4日の外来と通院化学療法を行い、さらに週に1回の院内緩和ケア回診と緩和ケア外来を行っております。また強力な薬物治療や病状の進行による全身状態の変化に対しては入院治療を行います。
消化器がん(胃癌や大腸癌、膵臓癌など)や呼吸器がん(肺癌)、婦人科がん(子宮癌、卵巣癌)、乳がん、原発不明がんなどの固形腫瘍に対する抗がん薬物療法を、がん薬物療法専門医*が主治医として、もしくは各科主治医とともに行っています。
抗がん剤治療の副作用対策や、緩和ケアなどに関して、各診療科医師およびメディカルスタッフからの相談を受けております。
2016年には、院内と地域の医療機関から84名の患者さんをご紹介いただきました。
疾患の内訳は、大腸がん20名、胃がん11名、頭頸部がん6名、肺がん3名、膵臓がん13名、食道がん12名、肝臓がん1名、胆道がん3名、血液悪性疾患6名、原発不明がん6名、肉腫4名です。
患者さんの肉体的・精神的なつらさにも十分対処し、療養生活の質をなるべく高く維持するため、緩和ケアチームの一員として積極的抗がん治療と同時に症状緩和を目標にした治療も平行してしっかり行っています。
がん薬物療法は、量がすぎれば強い副作用が出現し、投与する量が少なければ全く効果が出ないとされます。
重篤な副作用はときに生命に危険が及びますので、患者さんそれぞれの特徴や薬物の相互作用などを十分考慮したうえで施行する必要があります。
当科ではがん薬物療法に関する専門的な知識を有する医師・薬剤師・看護師のなかでよく検討して薬物を選択・投与し、副作用の出現による生活の質の低下を予防するため最大限の注意を払います。
からだの状態によっては、抗がん剤治療がかえって生活の質を下げたり、元気でいられる時間を短くしてしまう可能性が高くなることもあります。
薬物療法の長所と短所を患者さんやご家族と相談しながら、可能な限り療養生活の支持をして参ります。
さらに、ご自宅での療養が続けられるように、地域のかかりつけ医の医師や訪問看護師等とも連携して、患者さん個々に適した総合的な視点を持って治療を行います。
がんの治療には時間がかかります。
また、精神的にも肉体的にも経済的にも大きな負担になります。
そのため治療初期から緩和ケアチームによる様々な支援が欠かせません。
腫瘍内科は精神腫瘍科、緩和ケアチーム、通院治療室とともに臨床腫瘍部門を構成しており、多くの診療科(外科・麻酔科・放射線科・泌尿器科・婦人科・精神科など)の医師や看護師・薬剤師・理学療法士・社会福祉士・心理療法士など多職種のスタッフによる、包括的な診療を通して、がん薬物療法に伴う副作用の制御と、痛みやつらさといった、がんによる肉体的・精神的症状に対処いたします。
がん治療に関しては現在、幸か不幸か、テレビや雑誌、インターネットなどに様々な情報があふれており、その内容も玉石混淆であることは否めません。
がんの治療や療養生活に関して不安や悩みがあれば、可能な限りお答えしていきたいと思います。
当院セカンドオピニオン外来を通じて申し込んでいただければ幸いです。
*がん薬物療法専門医:各科の基本専門医資格(内科専門医、外科専門医など)を有する医師が、5年以上がん診療及び研究に携わり、認定研修施設において、所定の研修カリキュラムに従った臨床研修を行ったことが証明され、様々な領域の治療を記した30例の病歴報告を含む書類審査と、すべての臓器の悪性疾患(がん)治療に関する筆記試験および面接試験を経て日本臨床腫瘍学会により認定されます。
平成28年4月時点で全国に1,101名(長野県では21名)の専門医が認定されています。
全国で14,000名以上が認定されているがん治療認定医を1階部分とすれば、がんに対する薬物治療に特化した2階部分と位置づけられ、抗がん剤治療の専門家であると同時に、各種がんに対する集学的治療のコーディネーターとして、よりよいがん治療の推進役であることを期待されています。
竹内 信道
日本臨床外科学会評議員
日本大腸肛門病学会評議員
認定感染制御医
緩和ケア指導医(PEACE Project)
米国臨床腫瘍学会(ASCO)
欧州腫瘍内科学会(ESMO)